【徹底比較】LUMIX S1II/S1IIE vs S5IIX vs S1RII
2025年5月、パナソニックは最新のフルサイズミラーレスカメラ LUMIX S1II と LUMIX S1IIE を発表しました。これらは、前モデルの S1 の進化版として登場し、特に動画性能と高速撮影機能が強化されています。
今回は、同じLUMIXシリーズの S5IIX や S1RII と比較しながら、それぞれの特徴を詳しくレビューします。
【LUMIX S1II外観写真】

引用:LUMIX HP
外観上は、S1IIとS1IIEとは前面のロゴ表示の違い以外はほぼ同じ
LUMIX S1II vs S1IIE – どちらを選ぶべき?
共通スペック
– 画像処理エンジン:新型Venus Engine(S1RII共同じ)
– 手ブレ補正:5軸IBIS(最大8.0段)(S1RII共同じ)
– EVF:576万ドットOLED(S1RII共同じ)
– 可動式モニター:3型(インチ)184万ドット チルト式フリーアングル(S1RII共同じ)
– メモリーカード:CFExpress & SDカード(S1RII共同じ)
ー ボディサイズ(幅x高さx奥行き):134.3×102.3×91.8 mm(S1RII共同じ)
LUMIX S1II vs S1IIE 比較表
LUMIX S1II | LUMIX S1IIE | |
有効画素数 | 2410万画素 | 2420万画素 |
センサー | 部分積層型 | 裏面照射型 |
撮影感度 | 標準:ISO100~51200 拡張:ISO50、102400、204800 | 標準:ISO100~51200 拡張:ISO50、102400、204800 |
記録フォーマット | JPEG/RAW/HEIF | JPEG/RAW/HEIF |
連射性能 | メカシャッター/電子先幕時:10(AFS/MF時)8(AFC時)コマ/秒 電子シャッター時:70(AFS/AFC/MF)コマ/秒 | メカシャッター/電子先幕時:10(AFS/MF時)7(AFC時)コマ/秒 電子シャッター時:30(AFS/AFC/MF)コマ/秒 |
シャッター スピード | 電子:1/16000~60秒 電子先幕:1/2000~60秒 メカニカル:1/8000~60秒 | 電子:1/8000~60秒 電子先幕:1/2000~60秒 メカニカル:1/8000~60秒 |
ファインダー | 約576万ドット | 約576万ドット |
液晶モニター | 3型(インチ) 184万ドット | 3型(インチ) 184万ドット |
可動式 モニター方式 | チルト式 フリーアングル | チルト式 フリーアングル |
ローパスフィルターレス | 〇 | |
撮影枚数 | ファインダー使用時: 320枚 液晶モニタ使用時: 360枚 | ファインダー使用時: 340枚 液晶モニタ使用時: 380枚 |
記録メディア | CFexpressカードTypeB SDカード SDHCカード SDXCカード | CFexpressカードTypeB SDカード SDHCカード SDXCカード |
スロット | ダブルスロット CFexpressカードTypeB/SDカード | ダブルスロット CFexpressカードTypeB/SDカード |
ボディ内手振れ補正 | 5軸8段手振れ補正 | 5軸8段手振れ補正 |
AFセンサー測距点 | 779点(像面位相差AF)/315点(コントラストAF) | 779点(像面位相差AF)/315点(コントラストAF) |
動画記録画素数 | 17:9 8.1K(8128×4288)29.97p 16:9 8K(7680×4320)29.97p C4K(4096×2160)119.88p 4K(3840×2160)119.88p | 3:2 6K(5952×3968)29.97p 16:9 5.9K(5888×3312)29.97p 17:9 C4K(4096×2160)59.94p 4K(3840×2160)59.94p |
RAW動画 内部記録 | ProRes RAW HQ / ProRes RAW | ProRes RAW HQ / ProRes RAW |
AF性能 | 像面位相差AF AIによる先進的な認識技術 自動認識(人物 / 動物 / 車 / バイク/自転車 / 列車 / 飛行機) アーバンスポーツ認識 | 像面位相差AF AIによる先進的な認識技術 自動認識(人物 / 動物 / 車 / バイク/自転車 / 列車 / 飛行機) アーバンスポーツ認識 |
手持ち ハイレゾ | 9600万画素 ハイレゾモード | 9600万画素 ハイレゾモード |
ズーム | クロップズーム ハイブリッドズーム | クロップズーム ハイブリッドズーム |
色味 | リアルタイムLUT | リアルタイムLUT |
動画補正 | クロップレス | クロップレス |
ISOテクノロジー | ダイナミックレンジ ブースト | デュアル ネイティブISO |
外形寸法 | 約134.3mm×約102.3mm×約91.8mm | 約134.3mm×約102.3mm×約91.8mm |
重さ | 約800g(バッテリー、メモリーカードを含む) | 約795g(バッテリー、メモリーカードを含む) |
価格(2025/5/27時点) | ¥455,400 | ¥356,400 |
LUMIX S1II vs S1IIEとの違い
・センサーが部分積層型、裏面照射型
・価格が10万円差
・動画性能が4K120P、4K60Pと動画性能差
・ISOテクノロジーがダイナミックレンジブースト、デュアルネイティブISO
LUMIX S1RII vs S5IIX 比較表
LUMIX S1RII | LUMIX S5IIX | |
有効画素数 | 4430万画素 | 2420万画素 |
センサー | 裏面照射型 | 裏面照射型 |
撮影感度 | 標準:ISO100~51200 拡張:ISO50、102400 | 標準:ISO100~51200 拡張:ISO50、320、102400、204800 |
記録フォーマット | JPEG/RAW/HEIF | JPEG/RAW |
連射性能 | メカシャッター/電子先幕時:10(AFS/MF時)8(AFC時)コマ/秒 電子シャッター時:40(AFS/AFC/MF)コマ/秒 | メカシャッター/電子先幕時:9(AFS/MF時)7(AFC時)コマ/秒 電子シャッター時:30(AFS/AFC/MF)コマ/秒 |
シャッター スピード | 電子:1/16000~60秒 電子先幕:1/2000~60秒 メカニカル:1/8000~60秒 | 電子:1/8000~60秒 電子先幕:1/2000~60秒 メカニカル:1/8000~60秒 |
ファインダー | 約576万ドット | 約368万ドット |
液晶モニター | 3型(インチ) 184万ドット | 3型(インチ) 184万ドット |
可動式 モニター方式 | チルト式 フリーアングル | フリーアングル |
ローパスフィルターレス | 〇 | |
撮影枚数 | ファインダー使用時: 280枚 液晶モニタ使用時: 350枚 | ファインダー使用時: 370枚 液晶モニタ使用時: 370枚 |
記録メディア | CFexpressカードTypeB SDカード SDHCカード SDXCカード | SDカード SDHCカード SDXCカード |
スロット | ダブルスロット CFexpressカードTypeB/SDカード | ダブルスロット SDカード×2 |
ボディ内手振れ補正 | 5軸8段手振れ補正 | 5軸6.5段手振れ補正 |
AFセンサー測距点 | 779点(像面位相差AF)/315点(コントラストAF) | 779点(像面位相差AF)/315点(コントラストAF) |
動画記録画素数 | 17:9 8.1K(8128×4288)29.97p 16:9 8K(7680×4320)29.97p C4K(4096×2160)119.88p 4K(3840×2160)119.88p | 3:2 6K(5952×3968)29.97p 16:9 5.9K(5888×3312)29.97p 17:9 C4K(4096×2160)59.94p 4K(3840×2160)59.94p |
RAW動画 内部記録 | ProRes RAW HQ / ProRes RAW | Apple ProRes 422HQ外付けSSD記録 |
AF性能 | 像面位相差AF AIによる先進的な認識技術 自動認識(人物 / 動物 / 車 / バイク/自転車 / 列車 / 飛行機) アーバンスポーツ認識(バージョンアップ対応予定) | 像面位相差AF オートフォーカスモード:自動認識(顔・瞳・人体・動物・飛行機・列車) / 追尾 / フルエリア / ゾーン(横・縦) / ゾーン / 1点+補助 / 1点 / ピンポイント |
手持ち ハイレゾ | 1億7,700万画素 ハイレゾモード | |
ズーム | クロップズーム ハイブリッドズーム | クロップズーム ハイブリッドズーム |
色味 | リアルタイムLUT | リアルタイムLUT |
動画補正 | クロップレス | - |
ISOテクノロジー | ダイナミックレンジ ブースト | デュアル ネイティブISO |
外形寸法 | 約134.3mm×約102.3mm×約91.8mm | 約134.3mm × 約102.3mm × 約90.1mm |
重さ | 約795g(バッテリー、メモリーカードを含む) | 約740g(本体、バッテリー、SDメモリーカード1枚含む) |
価格(2025/5/27時点) | ¥455,400 | ¥238,000 |
S1II/S1IIE/S5IIXについては、
・ボディ外観:S1II=S1IIE
・基本性能:S1II>S1IIE>S5IIX
→ ファインダー:S1II=S1IIE(576万ドット)>S5IIX
→ 背面液晶:S1II=S1IIE(チルトバリアングル)>S5IIX
・スチル性能:S1II>S1IIE>S5IIX
・動画性能:S1II>S1IIE>=S5IIX
・AF性能:S1II=S1IIE>S5IIX
・RAW動画内部記録:S1II=S1IIE>S5IIX
・ボディ内手振れ補正:S1II=S1IIE>S5IIX
・価格安:S5IIX>S1IIE>S1II
LUMIX S1II/S1IIEの良いところ
1. 高速連写性能
LUMIX S1IIは、電子シャッター使用時に最大70コマ/秒の高速連写が可能です。これは、動きの速い被写体を撮影する際に非常に有利で、スポーツや野生動物の撮影に最適です。一方、S1IIEは最大30コマ/秒の連写速度となっており、一般的な撮影には十分な性能を備えています。
2. 高解像度とダイナミックレンジ
S1IIは2410万画素の部分積層型CMOSセンサーを搭載し、ダイナミックレンジブースト機能により最大15ストップの広いダイナミックレンジを実現しています。これにより、明暗差の大きいシーンでも豊かな階調表現が可能です。S1IIEは裏面照射型CMOSセンサーを採用しており、解像感と描写性に優れています。
3. 優れた動画撮影機能
動画撮影においても、S1IIは8K/30p、C4K・4K/120p(1.12倍クロップ)の高解像度動画撮影が可能で、プロ仕様の映像制作にも対応しています。また、Apple ProRes RAW HQ / ProRes RAWの内部記録にも対応しており、編集の自由度が高いのも魅力です。一方、S1IIEは5.9K/30p、C4K・4K/60p(1.5倍クロップ)の動画撮影が可能で、一般的な映像制作には十分なスペックを備えています。
4. 高性能なAFシステム
両モデルともに像面位相差AFを採用し、779点のフォーカスポイントを備えています。さらに、新しい「アーバンスポーツ認識」機能により、スケートボードやパルクールなどの動きの速い被写体の追従性能が向上しています。
5. 優れた操作性と耐久性
ボディは防塵・防滴仕様で、過酷な環境でも安心して使用できます。また、EVFは576万ドットの高精細表示が可能で、視認性が非常に良いのもポイントです。背面液晶はチルト&フリーアングルのハイブリッド構造を採用しており、様々な撮影スタイルに対応できます。
LUMIX S1II/S1IIEの気になるところ
1. 価格
LUMIX S1IIの価格は約45万円、S1IIEは約35万円と、フルサイズミラーレスカメラとしては高価格帯に位置します。特にS1IIはプロ向けの仕様が多いため、一般ユーザーにはやや手が届きにくいかもしれません。
価格帯で見ると高画素機のLUMIX S1RIIは約47万円とS1IIとの価格差が近いことにより、S1IIの優位性が弱く見えます。また、ニコンのZ6IIIはS1IIと同様な部分積層型のセンサーを搭載した低画素機の機種ですが価格が約35万円と10万円近く安くなっている点については、スチルがメインですとZ6IIIも選択値のひとつになるでしょう。
2. バッテリー持続時間
公称撮影枚数は背面液晶使用時で約350枚、EVF使用時で約310枚と、長時間の撮影には予備バッテリーが必要になる可能性があります。特に動画撮影時にはバッテリー消費が激しく、外部電源の使用を検討する必要があるでしょう。
3. メモリーカードの選択肢
S1II/S1IIEはCFexpress Type-BとSDカードのデュアルスロットを採用しています。CFexpress Type-Bは高速書き込みが可能ですが、価格が高いため、コスト面での負担が大きくなる可能性があります。
ただ、最近はCFexpress Type-Bの価格もSDカードのUHS-IIのV90などより安いものが出てきているようです。
4. 電子シャッターの制約
電子シャッター使用時の高速連写は魅力的ですが、ストロボとの同調ができないため、フラッシュ撮影を多用するユーザーには不便かもしれません。
また、センサーが部分積層型や裏面照射型であり、積層型に比べ、電子シャッター時のローリングシャッターゆがみなどについて課題があるかもしれないです。
5.機敏性
LUMIX S5IIやS9、G9PROIIを所有していますが、ニコンのZf、Z50IIやOM SYSTEMのOM-1と比べると電源を入れてからの立ち上がり時間や操作時の機敏性はもっさりするところを感じます。LUMIX S1RIIの高画素機について、実際に量販カメラ店などで触ってみて、S5II/S5IIXの機種などよりかは、電源を入れてからの立ち上がり時間や操作時の機敏性は改善されているようですが、他社と比べては少しもっさりしていると感じます。
まとめ
LUMIX S1II/S1IIEは、高速連写性能、優れた動画撮影機能、高精細なEVF、強力なAFシステムなど、多くの魅力を備えたフルサイズミラーレスカメラです。一方で、価格の高さ、バッテリー持続時間、メモリーカードの選択肢、電子シャッターの制約など、気になるポイントもあります。プロ仕様のカメラとしては非常に優れた性能を持っていますが、購入を検討する際には、用途や予算を考慮することが重要です。
LUMIX S1II/S1IIE/S1RII 共通スペック
– 画像処理エンジン:新型Venus Engine(S1RII共同じ)
– 手ブレ補正:5軸IBIS(最大8.0段)(S1RII共同じ)
– EVF:576万ドットOLED(S1RII共同じ)
– 可動式モニター:3型(インチ)184万ドット チルト式フリーアングル(S1RII共同じ)
– メモリーカード:CFExpress & SDカード(S1RII共同じ)
ー ボディサイズ(幅x高さx奥行き):134.3×102.3×91.8 mm(S1RII共同じ)
LUMIX S1IIをおすすめな人
・低画素機で動画性能が4K/120Pを使いたい人
・部分積層型のセンサーを使いたい人
・高感度性能を使いたい人
・電子シャッター使用時に最大70コマ/秒の高速連写が必要な人
・動画をApple ProRes RAW HQ / ProRes RAWの内部記録を使いたい人
・長時間動画録画を撮りたい人
・高解像度とダイナミックレンジを使いたい人
【LUMIX S1II】
LUMIX S1IIEをおすすめな人
・S5II/S5IIXよりでステップアップしたい人で価格が30万円台と安く購入したい人
・ファインダー、チルト式フリーアングル、センサーシールド、5軸8段手振れ補正、AF性能、ボディ外観がS1IIやS1RIIなどと同じようなフラグシップ機の機能を使いたい人
・電子シャッター使用時に最大30コマ/秒の高速連写が必要な人
・動画性能としては、LUMIX S5II/S5IIXと同等以上な機能を使いたい人
・長時間動画録画を撮りたい人
・LUMIXの色味や操作性、クロップズームやハイブリッドズームなどを使いたい人
【LUMIX S1IIE】
パナソニック(Panasonic)
パナソニック(Panasonic) フルサイズ ミラーレス一眼カメラ ルミックス S1M2ES ボディ 2,420万画素 ブラック DC-S1M2ES
DC-S1M2ES
LUMIX S1RIIをおすすめな人
・低画素機より高画素機を使いたい人
・動画性能が4K/120Pを使いたい人
・他社より高画素機を安く購入したい人
・ファインダー、チルト式フリーアングル、センサーシールド、5軸8段手振れ補正、AF性能などフラグシップ機の機能を使いたい人
・電子シャッター使用時に最大40コマ/秒の高速連写が必要な人
・LUMIXの色味や操作性、クロップズームやハイブリッドズームなどを使いたい人
・動画をApple ProRes RAW HQ / ProRes RAWの内部記録を使いたい人
【LUMIX S1RII】
ニコンZ6IIIをおすすめな人
・低画素機で部分積層型センサーで安く購入したい人
・動画性能とスチル性能のハイブリッド性能を使いたい人
・ファインダーが明るくて見やすい方が良い人
・カメラの反応が機敏な方が良い人
・電子シャッター使用時に最大120コマ/秒の高速連写が必要な人
【ニコンZ6III】
ニコンZ5IIをおすすめな人
・低画素機で最新機能を盛り込んだフルサイズカメラで20万円台の安く購入したい人
・動画性能よりスチル性能を優先したい人
・ファインダーが明るくて見やすい方が良い人
・カメラの反応が機敏な方が良い人
・電子シャッター使用時に最大30コマ/秒の高速連写が必要な人
【ニコンZ5II】
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